OTTのワッツアップが、これまでのメッセンジャーアプリに加えて新たに音声通話サービスを開始することを発表、モバイル通信業界に衝撃を与えている。24日に行われたモバイル・ワールド・コングレスの基調講演で、同社のジャン・コームCEOは、今年の第2四半期に音声通話サービスを開始することを計画しており、アンドロイドとiPhonesを対象にサービスを提供した上で、Windowsとノキアの端末へと展開する意向を表明。「私たちは最高品質の音声通話サービスを提供できると思う。ほんのわずかな帯域を最大限に活用する」とコメントした。

ワッツアップが提供する無料メッセンジャーアプリのユーザーは、世界全体で現在4億5000万人。すでにモバイル通信業界を揺るがすインパクトを与えており、今回の動きは、従来型の音声通信サービスを収益の柱とする通信事業者にとって脅威となる。

また、新興市場での勢力拡大を目論むSNSの最大手フェイスブックが先週、同社を190億ドルで買収することを発表しており、フェイスブックが音声通信サービス分野でも地位を確立する可能性が高まっている。新興市場向け通信事業を展開するミリコム社のハンス・ホルガー・アルブレヒトCEOは、ワッツアップの発表に対し、楽観的な感想を述べた一方で、基調演説に続いて行われたパネルセッションの中で、コーム氏に対し、「当社は収益の約70パーセントを音声通信に頼っているので、あまり急がないよう」懸念を隠さなかった。